甲南大学 知能情報学部 神原研究室


ロボットによる「話しながらなでる」動作による快感情の誘発

ロボットで人のような「話しながらなでる」動作を再現させ人の快感情を誘発させる
研究概要 「なでる」動作は,ストレスや痛みの軽減,認知症の抑制といった幅広い効果をもたらすことが知られており,日常生活や医療・介護分野でケアの手法として取り入れられています。この「なでる」動作に,コミュニケーションの観点から重要となる「話す」を組み合わせることで,人に対する「なでる」動作を含むケアにおいて,より心地良さを向上させることができると考えられます。本研究では,より心地よいケアの実現を目指して,ロボットによる「話しながらなでる」というマルチモーダルインタラクションが,人に与える心地よさを向上させるのか評価することを目指します。人が実際に「話しながらなでる」振る舞いを記録・解析することにより,人らしい振る舞いをモデリングし,そのモデルにより,人のように「話しながらなでる」ことができるロボットを実現しました。そして,そのロボットを用いて(1)「なでる」,(2)「話す」,(3)「話しながらなでる」の3 種類の動作について,人に与える心地よさを,アンケートとアフェクト・グリッドによる主観的指標,スキンコンダクタンスと筋電位による客観的指標により評価しました。22 名で実験を行なった結果,主観的評価・客観的評価ともに(3)「なでながら話す」が(1)「なでる」よりも有意に心地よさと覚醒度を向上させる結果が得られました。このことから,より心地よいケアを実現する上で,「話しながらなでる」というマルチモーダルインタラクションが有効であることが示唆されました。
関連文献 ・Taishi Sawabe, Suguru Honda, Wataru Sato, Tomoki Ishikura, Masayuki Kanbara, Sakiko Yoshikawa, Yuichiro Fujimoto, Hirokazu Kato, "Robot touch with speech boosts positive emotions," Scientific Reports, Scientific Reports, Vol.12, No.6884 (2022), pp.1-8, Apr. 2022. https://doi.org/10.1038/s41598-022-10503-6

<< 前のページに戻る